【Report】西日暮里エキマエピクニック
まちの未来を楽しく予感させる路上活用実験
西日暮里エキマエピクニックイメージ西日暮里エキマエピクニックイメージ
JR西日暮里駅とJR日暮里駅を結ぶ線路沿いにある「ルートにっぽり」。こちらの西日暮里駅界隈で、2024年5月18日(土)~19 日(日)、二日間にわたりイベント「西日暮里エキマエピクニック vol.01」が開催されました。駅前の商店などを中心に発足した「西日暮里駅周辺を盛り上げる会」が主催し、普段から歩行者の往来が多い西日暮里駅前の道路を、イベント期間中歩行者天国化。のんびり開放的に飲食できる場所や、小売屋台や体験イベントの設営を行い、路上で車両を気にせず安心して楽しめる空間に様変わりしました。当社も駅前の商業施設「西日暮里スクランブル」や高架下店舗の大家であることから、道路を中心としたひとつの大きな空間を子どもから大人まで楽しめるピクニックストリートとしたこちらのイベントに協力しましたので、その模様をお届けします。
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ご期待の声に応え
3年ぶりの開催
今回開催された「西日暮里エキマエピクニック」はvol.1となりますが、実は「西日暮里エキマエピクニック vol.0」が2021年11月に2日間にわたって行われています。西日暮里駅界隈は、駅開設以来栄えた商業地域ですが、高架化によるまちなみの変化などによってまちの様相は変化し続けてきました。当時はテナントの入れ替わりの早さなどから商店会活動も以前のようには行われなくなり、通り全体での一体性が失われつつあったようです。加えて、新型コロナウイルス蔓延の影響で地域の飲食店・小売店には大きな影響がありました。そこで、まちに活気を取り戻すべく「西日暮里エキマエピクニック vol.0」を開催し、コロナ禍にもかかわらず 10,000 人を超える(主催者発表)多くの方の来場を得る結果に。その後、地元住民の方々、商店主の方々のご期待の声をいただき、「vol.01」を開催することになりました。
駅前道路での
ピクニックは大盛況
開催した二日間では、初日が夏日となった炎天下、最終日は時折小雨となる天候となりましたが、たくさんの方が来場されました。イベント会場は大きく3つのエリアに分かれ、客席エリアでは、沿道店舗はもちろんのこと、近隣店舗用の屋台からも買って食べられる、椅子・テーブルのあるスペース。路上もチョークアートでいっぱいになりました。ステージエリアでは、紙芝居や、地元クリエイター制作による映画の上映会、ストリートヨガ、地域の将来を考えるトークイベントを実施。ベイゴマ・けん玉プレイコーナーや、ミニ四駆サーキット、ワークショップのある改札口エリアでは子どもの賑やかな姿が終日ありました。西日暮里周辺エリアにゆかりのある方々の出店で、駅前の道路にもかかわらず、まさにピクニックといった空間となりました。
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西日暮里エキマエピクニックイメージ3西日暮里エキマエピクニックイメージ3
西日暮里駅界隈が
一体となって実現
イベント当日、西日暮里駅構内にある、地域の方々が企画するワークショップ等が行われる文化交流拠点「エキラボ niri(東京都荒川区)」でも、鉄道模型を走らせることができるNゲージ体験会をJR東日本が実施。子ども駅長服の着用や特別な電車グッズのプレゼントも配られました。こうしたイベントも、駅や鉄道に親しみをもってもらう本来の目的にとどまらず、「西日暮里エキマエピクニック」の一部となり、西日暮里駅界隈全体での盛り上がりを見せました。
驚くのは、運営スタッフの多くが地域の方々のボランティアであること。駅を起点として地域事業の共創を目指す「西日暮里スクランブル」が中心となり、まちの人々のつながりで実施されました。当社からも「キャンプ練習場campass(東京都台東区)」からワークショップの出店や休憩スペースの設営、運営スタッフを動員し、お手伝いさせていただきました。
まちの未来像を楽しく予感
裏テーマは路上活用実験
本イベントの主催「西日暮里駅周辺を盛り上げる会」の中心メンバーである株式会社HAGISO代表取締役 宮崎みやざき 晃吉みつよしさんにイベントの背景や、今後の西日暮里のまちの未来について、お話を伺いました。
宮崎:2021年開催のvol.0はコロナ禍ということもあり、地域が元気づくことを目的とし、無事成功で終えることができました。今回のvol.1では、たくさんの方から開催のご期待のお声をいただきましたが、前回とは状況も違うので、別の意義が必要でした。西日暮里というまちは、JR西日暮里駅と東京メトロ西日暮里駅の乗り換えで利用する方が多いので、印象も薄く、アイデンティティがないまちと思われがちです。それでも、この地域を好きな人がいて、つながりもあることが、こうしたイベントで可視化できます。だからこそ、“こうでなければならない”といったトップダウンで決まるのではなく、“こうしたい”を具現化できるのです。会議室で議論していても未来は見えてきません。実際に、まちや路上を活用して楽しく地域の未来像を想像し、予感できるような継続的な社会実験として意義を持たせました。
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人の輪、地域の輪が土台に
トークイベントには宮崎さんも登壇され、ルートにっぽりも西日暮里駅前地区市街地再開発事業を控えて変化していくなか、地域がもっと楽しい未来や西日暮里駅前らしさをつくっていけるよう、それぞれが当事者意識を持ち、立場の異なる人でつながることが 重要だと締めくくりました。
西日暮里エリア担当の当社の開発事業本部 開発一部 西山にしやま 博孝ひろたかさんにもイベントを振り返っていただきました。
西山:最初の頃は、イベントを無事実施できるのか、成功するのか不安な面もありました。開催日を迎えてみると、案内や呼び込みをせずとも自然に人の輪ができ、広がっていきました。来場された方も、運営も、こうした人の輪が土台となって、より良い形へとつながっていくのだと思います。

トークイベントの最後には、荒川区のご担当者をはじめとした、「西日暮里駅周辺を盛り上げる会」のメンバー紹介もあり、さまざまな方の協力があって実現したイベントだと実感しました。まさに地域の輪が土台となり西日暮里の未来を明るく予感させるのかもしれません。


取材編集/くらしづくり・まちづくり室
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株式会社HAGISO 代表取締役
宮崎みやざき 晃吉みつよし
群馬県前橋市生まれ。2008年東京藝術大学大学院修士課程修了後、磯崎新アトリエ勤務。2011年より独立し建築設計やプロデュースを行うかたわら、2013年より、自社事業として東京・谷中を中心エリアとした築古のアパートや住宅をリノベーションした飲食、宿泊事業を設計および運営している。 西日暮里の顔となる場所に誕生したインキュベーションスペース「西日暮里スクランブル(東京都荒川区)」の全体管理・一部店舗の運営を当社からも委託。
群馬県前橋市生まれ。2008年東京藝術大学大学院修士課程修了後、磯崎新アトリエ勤務。2011年より独立し建築設計やプロデュースを行うかたわら、2013年より、自社事業として東京・谷中を中心エリアとした築古のアパートや住宅をリノベーションした飲食、宿泊事業を設計および運営している。 西日暮里の顔となる場所に誕生したインキュベーションスペース「西日暮里スクランブル(東京都荒川区)」の全体管理・一部店舗の運営を当社からも委託。
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株式会社ジェイアール東日本都市開発 開発事業本部 開発一部
西山にしやま 博孝ひろたか
2013年に経験者採用で入社。神奈川支社開発部では高架下や駅前の保育園の拡大でJR東日本グループの子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」に貢献。モットーは「テナント・当社・地域が3方良しとなる関係を築く」こと。2022年に開発事業本部に転籍となり、第2のコロナが起こっても出店が途切れない店舗を作るにはどうすべきかに腐心し、新規開発を進めている。趣味はコロナ禍で始めた庭いじり。芝を青くすることと種から育てたレモンを結実させることに休日没頭している。
2013年に経験者採用で入社。神奈川支社開発部では高架下や駅前の保育園の拡大でJR東日本グループの子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」に貢献。モットーは「テナント・当社・地域が3方良しとなる関係を築く」こと。2022年に開発事業本部に転籍となり、第2のコロナが起こっても出店が途切れない店舗を作るにはどうすべきかに腐心し、新規開発を進めている。趣味はコロナ禍で始めた庭いじり。芝を青くすることと種から育てたレモンを結実させることに休日没頭している。